人目もはばからず

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eスポーツで推薦入試

「えー おっほん… それでは面接をはじめます」

『多田野 男惨(ただの おっさん)と申します 本日はよろしくお願いいたします』

「えー ではまず… ん? あぁそう硬くならないでくれたまえ」

『あ…はい すみません』

「まぁ 私の息子もキミとおなじ高校三年生で来年にはどこかの大学へと進学することになっているんだが 親の期待もあるだろう 気持ちはわかる」

『はぁ そうなんですね』

「まぁ 推薦入試とはいえ キミが受けているこの大学なんかよりずっとずっとレベルの高い大学を受験する予定なんだがね」

『…それはそれは…私なんかと違って優秀な…』

「おっとすまない つい息子のこととなると自慢話をしたくなってしまって…」

『…』

「…あー では例に漏れず この大学の志望理由をお聞かせ願いたい」

『…はい 私がこの大学への入学を志望した理由は…えっと…あれ…』

「…ん?理由は?」

『…すみません わすれました…』

「ん?忘れるとは?いやいや…前もって考えてきたんだろうけれど、別にその通りに語らなくていいではないか 今の正直な気持ちを聞かせてくれたらそれでいいんだよ さぁ もう一度…私をおとうさんとでも思って 深呼吸でもしてみなさい 気を楽にして、もう一度…」

『(すーはー)』

『そうそう すーはー だ』

「(すーはー)」

『うんうん』

「(…すーは―…)」

『…もうそろそろ深呼吸はよいのではないか?』

「あ、はい…」

『……』

「…」

『あー では質問を変えよう(コイツだめだな…)』

「はい おとうさん よろしくお願いいたします」

『高校時代になにか打ち込んだものはあるかね(おとうさん?)』

「はい! eスポーツ部で毎日毎日鍛錬を積み 腱鞘炎を押しての強行出場の末、大会での優勝を勝ち取りました」

『…あー(最近帰宅部の溜まり場として話題のあの…これからこういう奴増えてくのかな…)』

「はい!あの時の感動はきっと一生忘れることはありません」

『そうかー それはキミ― がんばったねー』

「はい!優勝賞金の500万円をきっかけにこの道で生きていくことを齢18にして心に決めたのであります ワタクシプロゲーマーを志願するであります!』

「…あー それだったら別に学校に在籍しなくてもだな…いや…(ぅぅ…持病の胃痛が…) 以上で面接を…終わります」

『はい!本日は貴重なお時間を私のためにごちそうしていただきましてありがとうございました それでは失礼します…(カチャッ…バタン…)』

「…過酷だなぁ…(サラサラ…)一芸学部の面接官…(合格…とっ)」

 

eスポーツ論 ゲームが体育競技になる日

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