きのこが山 か たけのこが里か
『ねぇ先輩、まだ起きてますか?』
「…ぃや」
『起きてるじゃないですかぁ…ボク、年明けても…やっぱり不眠症なんです…なんだか残念です』
「…確かキミはこの前、不眠症を治してくれるようにサンタさんにお願いしたんだったか?そして正月休みには七福神巡りもしたとか…誰もキミを治せなかったというわけか。それは残念だったな、もうあきらめろ…」
『…で、話はかわりましてね』
「…(ぉぃ はじまったよ 眠らせろよ お前の不眠症に新年早々付き合うなんてごめんだぜ…)」
『きのこの山ってあるじゃないですか?この前、急に食べたくてたまらなくなってですね』
「…(たけのこの里 きのこの山 アナタはどっち派か?とメーカーが煽っているあのお菓子のことか?)」
『先輩、ボク。実はこの前なんですけどね、先輩に内緒できのこの山に行ってきたんですよ』
「…は?」
『美味しかったですよ、きのこ』
「…(きのこ狩りに行ったって意味か?お前はいつも言葉足らずだし意味も解りにくい…)」
『で、ですね』
「…(くそが…さっさと話かけるのやめてくれよ)」
『ボク、実はそれをきっかけにずっと思い悩んでいることがあるんです』
「…(たけのこの里派だったけどきのこの山派になろうとおもいます…で話終わってくんねぇかな…)」
『きのこの山っていったいどういう設定なのかと思いまして…大きさとか場所とか…コンセプトが気になって気になって…先輩はどう思います』
「…(考えたこともないしオレに考えさせるな)」
『例えばですよ、大きな山脈の一つにきのこの山があって その山中にたけのこの里という山郷がある…と考えられる一方で。
たけのこの里という開けた農村の背後にきのこの山がそびえたっているのかもしれない…』
「…どうでもいい(ぉっ 思わず声だしちまった…)」
『いやいや先輩!さらにはたけのこの里ときのこの山はそれぞれが決して相見えることのない別次元に存在しているのかもしれない…』
「…(キミはいつもいつも本当に、…いや…もぅ…思考停止しよう…)」
『あのパッケージのどこかにヒントがあるのではないかとみてみるとですね…』
「…(思考停止)」
『なんと謎は深まるばかりなんですってば』
「…(略)」
『明〇チョコスナックと書かれているかと思えばチョコレート菓子って商標で書かれている部分もあって…』
「…(あ、これもうすぐ終わるパターンだろ)」
『チョコスナックとチョコレート菓子ってどっちが守備範囲広いんだろうって…そう思ったんですね…で、いつの間にかプロ野球選手の守備範囲とそれに伴う失策(エラー)との関係性を「ゴールデングラブ賞」という観点から考察してみたらどうしても納得いかなかったりするんです…でも…ボクなんかがとやかく言っても…結局は客商売…買ってもらう人、観戦してくれる人ありきの世界なわけで…』
「…(そろそろか…)」
『…つまりですね、ボクの結論としましては…』
「…(あれ…なんかそこだけ知りたいわ)」
『…なわけであっ…て…』
「え?(え、おい、何て?知りたいんだけど?聞こえないんだけど!)」
『……だ……』
「……こいつまたオレを置いて一人寝やがったな…(そしてオレは今年もこいつのせいで不眠症…ぅぅ…)」
― おわり ―