人目もはばからず

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おひさまハイムのCMが気になって眠れやしない…

『…ムクッ』
って自分でそんなことを呟きながら起き上がるのも何なんだが…

『…なぁ。 起きてるんだろ? なぁ…』
 
「…だからさ、お前な、起こすなって言ってんだろ…」

『…すまんな。やっぱ眠れなくてさ』
 
「…で、なんなんだよ。言いたいことがあるならさっさと言ってくれ。オレの仕事、連休はないの。今日は休み、だったら明日は?…ってわかるだろ。お前」

『…すまんな。…あのさ、おひさまハイムのCMって知ってるか?』

「…おひさま…ハイム?」

『知らないか?阿部寛っていう北斗の拳の激情版アニメの声優をちょっと前に努めたこともある…』
「激情…劇場版だろ?…アニメ…そんなのあったのか?…ちょっとそれ、わかんねぇんだけどさ…やたらデカい俳優さんだよな 「テルマエ・ロマエ」…「トリック」の…なぜベストを尽くさないかのか…の上田教授…」
『…そう!その人が出てるCM
…で…その…あの…歌ってもいいか?』
「はっ!?…え?歌う?なんで?」
『…』
「…」
『お~ひさーまの~ちから~♪♬』
「…(ホントに歌うんだなお前…)」
『あーたらーしぃ~ 暮らし~♬』
「…ぉ?なんかそれ、耳にしたことあるぞ…ぅん…」
『だろ!?このおひさまハイムのCM、一度は誰でも見たことあるんだって!!』
「ちょっと印象的なメロディーだったから、いま何となくだけど…」
『だろ!? とくにあの子どもたちの振り付けな!』
「…は?振り付け?」
『あの、首を傾けて固定したまま腕をブンブン振り回す…』
「ブンブン?お前、そんな顔を高揚させてさ、いったいなにを興奮してんだょ…こんな夜中に…」
『…ごめん』
「……んで?」
『…あのな、聞いてくれるか?』
「さっきから聞いてるからさ、…あのさ、さっさと終わらせてくんないかな、寝ないとオレ、明日辛いんだ…ってもう日付変わってんだけど」
『…ごめん、あのさ。そのCMの一番左の子どもがやたら気になってさ』
「…そのCMの動画もここに提示せずに…そんなこと言われてもオレにはわかんねぇんだけどさ」
『…なんかさ、その子の動きが気になって眠れなくてさ』
「気になる?たかだか30秒ほどのCMの?
お前、それよっぽどだな…その動きって…どんな動きだよ」
『いや…、人によっては気にならずにきっとスルーするんだよ きっとな』
「…だけどお前は気になってしまった…そういうことか?」
『…そうなんだ。で…いろいろとあれこれ考えに考え抜いていたらさ』
「…考え抜いた結果が?なんだよ…(…毎回くだらねぇ…お前のせいでオレは眠れねぇ……)」
『…その…阿部寛がさ…』
「え?…阿部寛…が?また、なんで絡んでくるの?
いやいや、そこは何も気にならないだろ?」
『…そうかもしれないんだけど』
「だったらそこに阿部寛さんを持ち出すなよ(芸能人だからって呼び捨てはいかんぞ という主義なんだよオレは)」
『…ボクが思うにはね…阿部寛も同じようにして最後に踊ってくれたらそれでよかったんだよ…』
「…一緒に?…子どもたちと同じように首を傾けて…腕をブンブンまわして?」
『…ぅん…それで…きっと…今日は…安心して…ね…むれ…たん…だ…』
「…おい…一人かってに穏やかな眠りについてんじゃねぇよ…」
『…』
「…いつも、オレの方が睡眠不足なんだって…こいつに言ってもきっと伝わらないんだろうな…」