人目もはばからず

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悲しきオッサンの懺悔

これは、だらだらと、おっさんの入り口に入った男の愚痴だ。
悲しきオッサン。
その証明である。

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哀しいことに、自分のことをおっさんだと自覚してしまう時が誰にだって来るのだ。
…ということに、おっさんになって気付く。
いけいけで乗り越える気力さえも奪われ始めるなんて、あの頃には思いもしなかったのにな。
もう、そのことに気付いたころには、残念ながら前触れもなく、いつの間にか、ピークを過ぎてしまっている。
たとえ年齢に見合わず若いと言われたところ、オレもまだまだ、なんて思ってみても、日常生活で徐々に心身の衰えを自覚することになる。


はじまりはどうだったか。
そういえば時々、階段や道端の段差で躓き始めた頃があった。
今ではそれほどないような気がする、と思ったのですが。
このそれほど、が危ない。
若い頃、そんなことはないのだ。
全くないとは言わなくても、断言しよう。
ほぼない。
ないに等しいくらいない。
だからあの場面で躓いて恥ずかしかったなって記憶が残っているくらいに、ほぼない。
時おり、自転車でバランスを崩す。
これもなかっただろ。
近くのモノが霞んで見える、ピントが合わない。
なかったなかった。
そんなこと。
自分にはおきない、なんの根拠もなくそんな先人たちの言葉を信じなかったのに。
そんな気だるそうな目で物を見つめる時が来るなんて信じられなかった。
長い時間、同じ距離間のものを見つめていると異様に目が疲れるし、道路を横断しようと思えば行き交う車のスピード感がパッと瞬時に判断できない。

まだ30代だぜ?
でも、もう、違うんだ。あの頃とは。
突然じゃない。
徐々にだ。
気付かれないように。
衰えは手を緩めない。
逃げ出したい?
酒でも飲むか。
ただな。
酒に弱くなった。
いや、飲めるのだ。
飲めるのだが、酔いから回復する力が劣ってくる。
そして、二十代の頃とは違い、飲み過ぎたと思えば断片的に記憶を失う。
酒で失敗したという記憶が残っているならまだ救いようがある。
心の底から謝ればいい。
それよりも覚えていないことの方がもっと怖いんだ。
そう、もはや酒が恐ろしくなる。
そんでな。
怪我をすると、その傷が後々、残るようになった。
かさぶたが取れたら、そのかさぶたの形が白い線になってこんもりするようになった。
もう、応急処置みたいなもんだわ。
パテで不細工に埋め立てたような皮膚。
それに筋肉痛。
動きまくった翌日よりもな。
さらに後日の方がキツイ時がある。
そして絶望的なのが全力疾走することができない。
いや、全力なのかもしれないが過去の映像がダブって思い描いていたトップスピードに至る前触れもなく、足は上がらず前に伸びず、後ろに強く蹴ることも出来ず、膝に手をついて肩で息をするのはゴールテープの遥か手前。
見上げた先には若かりし頃の自分が、まだまだいけんぞと、延々と走り続けている。
俺に続けなんて言えないし、お前に絶対に追いついてやるなんて粋がった台詞も出てくることはない。
マンガの世界?漫画?
最近、いつ読んだ?
 
こんな現実を、まだ若かりし頃の名残を身にまとった30代の俺が直面しているということを、若かった過去の自分に知らせる手立てがなかった。
おっさんは何もハゲたからなるんじゃない。
口臭がやばくなったからおっさんになるんじゃない。
いびきを常にかき始めたからおっさんになるんじゃない。
加齢臭が始まったからおっさんになるんじゃない。
筋トレしててもダメなんだ。
慢性的に膝が痛んだり、背中が痛かったり。
無念だ。
間違ったんじゃない。
これが正しいんだ。
気付いたころにはおっさんになっている。
そして、こんな恥ずかしい証言を不特定多数の人が閲覧可能なネットに垂れ流したことでさえ、うっかり忘れてしまうような。
そんな記憶力の低下と羞恥心の乱れが起きている。
 
かなしきオッサン。
そう。
オレはおっさん。
 
ごめんよ。
オレは逃れられなかった。